がんになると仕事はクビ…?!【社会保険労務士が徹底解説】

がんになると仕事はクビ…?!

本記事で紹介する内容
1.がんになった社員を「解雇」可能?
2.がん治療と仕事は「両立」できる?
3.がん治療者向けの「会社制度」は?
4.がん治療者向けの「経済支援」は?

国立がん研究センターの調査によると、年間で約「85万人」が新たにがんと診断されています(2011年「がん登録・統計」の推計値)。

そのうち、「約3割」
「就労世代」(20~64歳)です。

1.がんになったことを理由に
「社員を解雇」できる?

結論から言うと、
「がんになった社員を即クビ」にできません

しかし、がん患者の勤務者対象調査によると、がん診断確定後に「34.6%」の人が仕事を失っています。

その内訳は、以下のとおりです。

  • 「依願退職した」と答えた人:30.5%
  • 「解雇された」と答えた人 :4.1%

出典:厚生労働科学研究費補助金、
厚生労働省がん研究助成金
「がんの社会学」に関する合同研究班

(1)「がんで解雇」できるケース

仕事が原因でガンになり、
療養開始後3年経過した社員

が以下に合致すれば解雇が認められます。

  • 会社が打ち切り補償を支払った場合
  • 傷病補償年金が支給されている場合

(2)「がんによる退職」に問題がないケース

就業規則に以下記載があり、規定期間休職した場合は、問題ないとされています。

  • 病気やケガでの休職期間を
    「1年6か月」とする
  • 休職期間満了後も復職できない場合は「自然退職」となる

2.がん治療を受けながら、
「仕事を続ける」ことはできる?

「平成22年国民生活基礎調査」厚生労働省)によると、仕事とがん治療の両立者は「32.5万人」います。

「仕事」と「がん治療」の両立が可能な時代になってきています。

3.がん治療者が利用できる、
「会社の制度」は?

がん患者への調査で「仕事と治療の両立に必要な制度」として挙がったものは、以下のとおりでした。

  • 「勤務時間を短縮できる」制度:68%
  • 「長期の休暇や休暇」制度  :63%

出典:2013がん体験者の悩みや
負担等に関する実態調査

定期的な通院・手術前に、就業規則に以下の記載がないか見ておきましょう。

  1. 「病気休暇」制度
  2. 「時差出勤」制度
  3. 「短時間勤務」制度
  4. 「在宅勤務」制度
  5. 「時間単位または、半日単位の
    年次有給休暇取得」
    制度
  6. 「リハビリ出勤」制度

【両立制度1】「病気休暇」制度
(会社が任意で設定可能)

入院や手術などで、
「長期休暇が必要な場合」に利用できる「法定外休暇」です。

未消化の「有給休暇」を積み立てておき、必要時に利用できる会社が多いようです。

【両立制度2】「時差出勤」制度
(会社が任意で設定可能)

「始業時間」「終業時間」を早めたり、遅くすることで
通勤ラッシュを避けられる」制度です。

【両立制度3】「短時間勤務」制度
(会社が任意で設定可能)

治療中や退院後の体への負担を軽くするよう
「勤務時間を短かくできる」制度です。

【両立制度4】「在宅勤務」制度
(会社が任意で設定可能)

いわゆる「テレワーク」です。自宅でパソコンなどを使い、仕事をすることで
「通勤時間を節約する」制度です。

【両立制度5】「時間単位または、
半日単位の年次有給休暇取得」制度

(1)「時間単位」の年次有給休暇

労使協定が締結されている場合
「年次有給休暇のうち、
5日まで1時間単位で取得できる」
制度です。

(2)「半日単位」の年次有給休暇

「半日単位で、年次有給休暇が取得できる」制度です。

労使協定がなくても、社員が希望した場合は取得可能です。

【両立制度6】「リハビリ出勤」制度
(各事業所が任意に設定可能)

「長期休職者の復職をサポートする」制度です。以下の事例があります。

  • 「勤務時間」の短縮
  • 「負担の軽い仕事」から始める
    (例:デスクワーク)

5.がん治療者が利用できる、
「経済的支援」は?

「健康保険」「年金」に次の制度があります。

  1. 「限度額適用認定証」
  2. 「高額療養費」
  3. 「高額医療養費貸付」制度
  4. 「傷病手当金」
  5. 「障がい基礎年金」
    「障がい厚生年金」
  6. 「障がい手当金」(一時金)
  7. 「介護保険」制度
  8. 「確定申告の医療費控除」

【支援制度1】「限度額適用認定証」
(69歳以下の方対象)

入院・手術など「医療費の支払いが高額」になりそうな場合、加入している「医療保険会社」から発行してもらいます。「協会けんぽ」などの医療会社へ、事前申請する必要があります。

入院時など、「健康保険証と一緒に認定証を提示」すると「窓口での負担が限度額以内」ですみます。

【支援制度2】「高額療養費」

入院・手術などで「1カ月の医療費の支払いが高額」になった場合、
「自己負担限度額を超えた金額が払い戻される」制度です。

協会けんぽなど加入する医療保険に申請が必要です。払い戻しには3か月以上かかります。

【支援制度3】「高額医療養費貸付」制度

貸付制度では、無利子で
「高額療養費の支給見込額の8割相当額」の貸付を受けられます。

受付後2~3週間程度で指定口座に振り込まれます。

【支援制度4】「傷病手当金」

以下に当てはまる場合、
「最長1年6か月間」手当金が支給されます。

  • 病気やケガの療養で
    「仕事ができない」
  • 「4日以上」仕事を休んでいる
    (3日間連続して休んだ期間を含む)
  • 給与が「ゼロ」または
    「傷病手当金より金額が少ない」

支給開始は「4日目」からです。3日間連続して休んだ期間には、土日、祝日も含まれます。「加入している医療保険」で手続きを行います。

1日当たりの支給額は下記の通りです(平成30年8月現在)。

  • [支給開始日以前の継続した12ヵ月間
    の各月の標準報酬月額を平均した額] ÷ [30日] × [2/3]

【支援制度5】「障がい基礎年金」
「障がい厚生年金」

「以下の障がい等級に該当すると認定された場合、支給される」制度です。

  • 障がい基礎年金:1級、2級
  • 障がい厚生年金:1級~3級

障がい年金は、請求内容によって必要な書類や診断書が違います。病院で診断書をもらう前に「年金事務所」にご相談ください。

(1)「障がい基礎年金」(平成30年度の年金額)

以下のように計算されます。

  • 障がい基礎年金「1級」:
    [平成30年度の基本月額 779,300円] × [1.25] [※子の加算]
  • 障がい基礎年金「2級」:
    [平成30年度の基本月額 779,300円] + [※子の加算]
[子の加算]は、

  • 第1子、2子の場合「各224,300円」
  • 第3子以降「各74,800円」

で計算されます。

また以下の条件に当てはまる必要があります。

  • 「18歳の誕生日」以後
    「最初の3月31日」を過ぎていない子
  • 「20歳未満」
    「障がい等級1級または2級」の子

(2)「障がい厚生年金」
(平成30年度の年金額)

以下のように計算されます。

  • 障がい厚生年金「1級」:
    [報酬比例の年金額] × 1.25
    + [配偶者の加給年金額(224,300円)]
  • 障がい厚生年金「2級」:
    [報酬比例の年金額] + [配偶者の加給年金額(224,300円)]
  • 障がい厚生年金「3級」:
    [報酬比例の年金額] (最低保証額584,500円)

配偶者の加給年金は「受給者の収入で生活する65歳未満の配偶者がいる場合」のみ加算されます。

【支援制度6】「障がい手当金」(一時金)

手続きは「年金事務所」で行います。

(1)支給条件

下の条件を満たした場合に、支給されます。

  • 「厚生年金に加入中」であり
    「初診日」の病気やケガ
  • 「5年以内に治り」
    「障がい厚生年金3級より
    軽い障がい」
    が残った
  • 「納付条件」を満たしている

(2)平成30年度の一時金額

以下のように計算されます。

  1. (報酬比例の年金額) × 2
  2. 上記1.が「1,169,000円未満」
    の場合は「1,169,000円」

【支援制度7】「介護保険」制度

「要介護認定」を受けた場合、
「原則1割の自己負担」で介護サービスが受けられます。住所地の市区町村で手続きが必要です。

【支援制度8】確定申告の医療費控除

「1/1~12/31に支払った医療費が高額」の場合、対象者が確定申告を行うと、以下が還付されます。

  • 「所得税」
  • 「復興特別所得税」

まとめ(がん治療を支える
「支援」「制度」を知っておこう)

がん治療と仕事の両立が目的の法律はありません。多くの場合「各会社の任意」「保険」で支援制度が設定されています。

また、休業制度や給付は「申請しなければ利用できない」ため注意が必要です。

がんになったことを「会社に報告」する場合は「治療と仕事の両立制度」も同時申請しましょう。

本記事出典元の「治療と仕事の両立支援ナビ」(厚生労働省)もご参照ください。

出典:厚生労働省ホームページ
「治療と仕事の両立支援ナビ」

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