妊娠後パート仕事はいつまで?【続ける・辞めるの決断時期】

妊娠後パート仕事はいつまで?

本記事で紹介する内容
1.早めに職場へ「妊娠報告」をするべき理由
2.パートタイマーでも「産休」「育休」は取れるのか
3.産休・育休中の「経済支援」
4.「辞める時期」はいつがベスト?

厚生労働省の「平成29年国民生活基礎調査の概況」によると、児童のいる世帯で仕事をしている母親の割合は70.8%と、10年前に比べ11.4%増加しています。

出典:厚生労働省ホームページ平成29年国民生活基礎調査の概況

1.早めに職場へ「妊娠報告」をするべき理由

安定期に入るまでは、流産のリスクが高く、人に報告するのを躊躇する人も多いのではないでしょうか。

「労働基準法」や「男女雇用機会均等法」では、事業主に対し働く女性の「母性健康管理措置」「母性保護規定」が義務付けられています。

「妊娠中の女性労働者」に対して
「事業主」が義務付けられていること

  • 【義務1】「健診受診時間」の確保
  • 【義務2】「危険・有害業務」の禁止
  • 【義務3】「医師の指導事項」が守れるようにする
  • 【義務4】「軽易な仕事」への転換
  • 【義務5】「変形労働時間」の適用免除
  • 【義務6】「時間外労働」「休日労働」の制限、
    深夜業」の免除

【義務1】「健診受診時間」の確保

妊娠中または産後1年以内の女性社員が請求した場合、勤務時間中の健診や保健指導を受けさせることを義務付けています。なお、健診のため仕事を休んでいた時間の給与を有給とするか無給とするかは、会社の就業規則などに従います。

【義務2】「危険・有害業務」の禁止

坑内労働、重量物を持つ仕事、有害ガスを発散する場所での仕事に従事させることが禁止されています。

【義務3】「医師の指導事項」が守れるようにする

健診で医師から

  • 「時差出勤」
  • 「勤務時間の短縮」
  • 「休憩時間の延長」
  • 「業務の制限」

などの指導を受けた場合、会社は指導事項が守れるように対処しなければなりません。

【義務4】「軽易な仕事」への転換

今の仕事が妊娠中の負担となっている女性社員が請求した場合、他の負担の軽い仕事に変わらせなければいけません。

【義務5】「変形労働時間」の適用免除

変形労働時間制の職場でも、妊娠中・産後1年以内の女性社員が請求した場合

  • 1日「8時間」
  • 1週間に「40時間」

の法定労働時間を超えて労働させることは出来ません。

【義務6】「時間外労働」
「休日労働」の制限、「深夜業」の免除

妊娠中、「産後1年以内」の女性社員が請求した場合

  • 時間外労働
    (1日「8時間」、週「40時間」を超える勤務)
  • 休日労働
  • 深夜業(午後10時~午前5時の勤務)

をさせることが出来ません。

2.パートタイマーでも
「産休」「育休」が取れるのか

冒頭に述べた、働くお母さんの割合70.8%のうち、「非正規職員」の母は37.0%と高い割合を示しています。

そこで、パートタイマーでも産休・育休を取得することが出来る条件に付いて説明します。

(1)産前休業が「取れる」パートタイマー

出産予定日が「産前6週間」(双子以上の場合は14週間)の
女性社員が請求した場合

(2)産後休業を「取らなければならない」
パートタイマー

  • 出産の翌日から「8週間以内」の女性社員
  • 「妊娠4カ月以上」で流産または
    死産した翌日から「8週間以内」の女性社員

ただし、上記該当者で「6週間」が過ぎた後、本人が請求し、医師が支障がないと認めた場合は勤務できます。

(3)育児休業が取れるパートタイマー

育児休業を申し出た時、
以下の【要件1】~【要件3】を満たした
有期契約社員(パートタイマーなど)が取ることができます。

  • 【要件1】「入社1年以上」のパートタイマー
  • 【要件2】子供が下記のいずれかの期間に
    「労働契約が満了」し、
    「次期契約の更新が明らかでない」パートタイマー

    「1歳6ヶ月」の誕生日の前日まで
    ・2歳まで育児休業を取る場合は「2歳の誕生日の前日」まで
  • 【要件3】労使協定で「育児休業の対象外」
    とされていないパートタイマー

3.産休・育休中の「経済支援」

近年、育児休業法は何度も改正されています。

「職場の先輩ママに、制度や経済的支援を聞こう」という人は、状況が変わっている可能性がありますので、必ず現在の法律をご確認ください。

「健康保険」「厚生年金」「雇用保険」に
加入しているパートタイマーへの経済的支援

  1. 「出産育児一時金」「出産手当金」
    「育児休業給付金」(非課税)
  2. 異常出産時(「切迫流産」「帝王切開」など)
    の高額療養費の支給
  3. 産休・育休中の「健康保険料」
    「厚生年金保険料」の免除
  4. 産休・育休中無給の場合は、
    「雇用保険料」の支払い不要
  5. 子どもが3歳になるまでの
    「厚生年金額計算」の特例
  6. 育休中の「財形非課税貯蓄」の特例
  7. 「健康保険」「厚生年金保険」
    産休・育休終了時の報酬月額変更

【支援制度1】「出産育児一時金」「出産給付金」
「育児休業給付金」(非課税)

  • 「出産育児一時金」
    非課税で1児につき「42万円」
    (産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合は「40.4万円」)が支給されます。(平成30年8月現在)
  • 「出産手当金」
    「出産日以前42日」(多胎の場合は98日)と
    「出産日後56日」までの期間で、
    会社を休み、給与の支払いがなかった期間が対象となります。

    1日の金額=[支給開始前の継続した12ヵ月間の各標準報酬月額の平均額]÷[30日]×[2/3](平成30年8月現在)

  • 「育児休業給付金」
    支給額は対象期間1か月当たり、原則次の通りです。
    (平成30年8月現在)
    [休業開始時賃金日額]×[支給日数の67%]
    (育児休業の開始から6か月経過後は50%)

【支援制度2】異常出産時(「切迫流産」
「帝王切開」など)の高額療養費の支給

異常出産(「切迫流産」「帝王切開」など)で、病院での支払いが高額となった場合、高額療養費の支給対象となることがあります。

協会けんぽなどに自分で、または会社を通じて「高額療養費支給申請書」を提出します。

【支援制度3】産休・育休中の「健康保険料」
「厚生年金保険料」の免除

会社を通じて、年金事務所に(健康保険組合加入の会社の場合健康保険組合にも)

  • 「産前産後休業取得者申出書」
  • 「育児休業取得者申出書」

を提出します。

保険料が免除される期間は、
「産前産後・育児休業開始月」
「休業終了予定日の翌日の月の前月」です。

【支援制度4】産休・育休中無給の場合は、
「雇用保険料」の支払い不要

会社は、産休・育休中の給与支払いを義務付けられていません。産休・育休中に無給になる場合、「雇用保険料」は支払い不要となります。

【支援制度5】子どもが3歳になるまでの
「厚生年金額計算」の特例

育児のために時短勤務になった場合、給与が減るため厚生年金保険料も減る場合があります。その場合、将来受け取れる年金額も下がってしまいます。

子どもが3歳になるまで、「育児中の標準報酬月額」「育児開始前月の標準報酬月額」として、将来の年金額を計算することで受け取れる年金額が減ることがないようにする制度があります。

【支援制度6】育休中の「財形非課税貯蓄」の特例

育休中に無給となることで「財形貯蓄」の積立が2年間中断すると、非課税の措置が受けられなくなります。

この場合、育休前に会社を通じて手続きをすることで、育休終了後も引き続き非課税で積立を再開できる特例があります。

【支援制度7】「健康保険」「厚生年金保険」の
産休・育休終了時の報酬月額変更

復職後、産休・育休前より給与が大幅にダウンした時、

  • 「産前産後休業終了時」の報酬月額変更届
  • 「育児休業終了時」の報酬月額変更届

を会社が年金事務所などに提出することになります。標準報酬月額が減額された場合は、「健康保険料」「厚生年金保険料」が安くなります。

「夫の扶養の範囲内」で働くパートタイマー

産休中・育休中の「健康保険」「厚生年金保険料」の免除、出産手当金はありません。「出産育児一時金」は、夫の健康保険から支給されます。

4.「辞める時期」はいつがベスト?

「出産後は、しばらく育児に専念したい」

「妊娠中、切迫流産で体調を崩し、やむを得ず退職する」

など様々な理由で退職を考えていらっしゃる方も多いと思います。

辞める時期を

  1. 「出産手当金」
  2. 「育児休業給付金」
  3. 「健康保険料」「厚生年金保険料」

の3つのポイントで解説します。

【ポイント1】「出産手当金」

  • 「健康保険」「厚生年金保険」に加入している人
  • 母子ともに「体調に問題がない」

は、退職後も「出産手当金」を受給できるケースがあります。

退職日まで被保険者期間が継続して「1年以上」ある人が

  • 「出産手当金」をすでに受給している
  • 「出産手当金」を受けられる状態

のいずれかに該当する場合、退職後も「出産手当金」を受けられます。

【ポイント2】「育児休業給付金」

「育児が思った以上に大変だったから、退職しよう」

など育児休業中にやむを得ず退職する場合、「育児休業給付金」はもらえなくなります。

(例)「平成30年10月1日」出産後、
「平成30年11月27日」から育児休業中の人

・「平成31年1月26日」に退職した場合
「平成30年12月27日に離職」となるため、
「平成31年1月26日分まで」の育児休業給付金がもらえます。

・「平成31年1月25日」に退職した場合
「平成31年1月26日に離職」となるため、
「平成30年12月26日分まで」しかもらえません。

【ポイント3】「健康保険料」と「厚生年金保険料」

「健康保険」「厚生年金保険」に加入されている人が月末に退職すると、資格損失日が翌日になるため退職月の保険料も支払うことになります。

(例)「8月31日」に退職した場合
「8月分」の「健康保険料」「厚生年金保険料」も支払う必要があります。

(例)「8月30日」に退職した場合
「8月分」の「健康保険料」「厚生年金保険料」を支払う必要はありません。

ただし、「将来もらえる年金額を、少しでも増やしたい」という方は「8月31日」に退職することをおすすめします。

まとめ(パートでも育休は取れます
妊娠後、すぐ退職するのは損です)

育児休業対象者の範囲が拡大されているにも関わらず、

「パートだから、育児休業は取得できない」

と誤解されている人が多いようです。また、産休・育休が取れ、体調に問題がない場合は、妊娠が判明してすぐに退職してしまう方は損をしている場合があります。

やむを得ず退職する場合には、「退職日」によって「社会保険料」「育児休業給付金」の額が変わるため、制度をよく理解し、最大限に活用しましょう。

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