労災書類の書き方と手厚い保障【社会保険労務士が徹底解説】

労災書類の書き方と手厚い保障

本記事で紹介する内容
1.「労災の給付手続き」をする人は?
2.請求書の「入手する方法」は?
3.労災で受けられる「給付の種類」
4.「原因および発生の状況」の書き方
5.労災で「健康保険」治療した場合

「労災保険」を利用すると、通勤途中や仕事で「病気」「ケガ」をした場合の「治療費が無料」になります。

いざという時のために、労災書類の書き方についてご紹介します。

1.「労災の給付手続き」をする人は?

「仕事中のケガだから、
会社が手続きをしてくれる」

と思われがちですが、そうではありません。

「労災保険」の給付を受けるには「本人」からの申請が必要です。仕事や通勤が原因で亡くなった場合は「遺族」が手続き行う必要があります。

ただし、例外的に「治療中の人が、自分で手続きをするのは大変だろう」と会社が代わりに手続きをするケースもあります。

2.請求書の「入手方法」

以下の方法で請求書を入手できます。

  • 「労働基準監督署」でもらう
  • 「厚生労働省のホームページ」から
    ダウンロードする

厚生労働省ホームページ
労災保険給付関係請求書等ダウンロード

3.労災保険で受けられる「給付の種類」

主な「給付内容」をご紹介します。

  1. 療養(補償)給付
  2. 通院費
  3. 休業(補償)給付
  4. 遺族(補償)年金
    または一時金
  5. 葬祭料(葬祭給付)
  6. 長期家族介護者援護金
  7. 労災就労保育援護費・
    労災就学保育援護費
  8. 傷病(補償)年金、
    障害(補償)年金
  9. アフターケア通院費
  10. 介護(補償)給付
  11. 二次健康診断等給付

【給付1】療養(補償)給付

仕事や通勤が原因で「病気」や「ケガ」をした時、

  • 労災病院
  • 指定医療機関

などで「無料の治療」が受けられます。

(例外)近くに該当する病院がない場合
指定医療機関以外の病院で治療を受けた場合でも、治療費などが支給されます。

【給付2】通院費

通院先が、自宅(または勤務先)から

  • 原則「片道2km以上」
  • 同一市町村内の「労災指定病院」

の場合に支給されます。該当すればマイカーで通院した場合も支給されます。

【給付3】休業(補償)給付

仕事や通勤が原因の「ケガ」「病気」で仕事を休み、無給となった場合、

休職4日目から

  • 休業(補償)給付額
    1日につき給付基礎日額×80%

が支給されます。

【【給付4】遺族(補償)年金または一時金

仕事や通勤が原因で亡くなった場合、

遺族に、

  • 遺族(補償)年金
  • 遺族遺族(補償)一時金

が支給されます。

(1)遺族(補償)年金

亡くなった人の収入で生活していた、
以下の人などに支給されます。

  • 60歳以上か、一定障害の夫
  • 子供、孫(18歳の誕生日以後、
    最初の3月31日までか、一定障害)
  • 父母、祖父母
    (60歳以上か、一定障害)
  • 兄弟姉妹
    (18歳の誕生日以後、
    最初の3月31日までか、一定障害)

(例)遺族(補償)年金受給資格のある
遺族が1人の場合の支給額

  • 遺族(補償)年金給付基礎日額×153日分
    +遺族特別支給金:300万円
    +遺族特別年金算定基礎日額×153日分

(平成30年度の額)

(2)遺族(補償)一時金

遺族(補償)年金の該当者がいない場合、

最先順位者に

  • 給付基礎日額×1000日分
    +遺族特別支給金:300万円
    +算定基礎日額×1000日分

が一時金として支給されます。
(平成30年度の額)

受給資格や給付額の詳細は、
厚生労働省ホームページでご確認ください。

厚生労働省ホームページ
遺族(補償)給付
葬祭料(葬祭給付)の請求手続

【給付5】葬祭料(葬祭給付)

遺族または会社が葬祭をした時、

  1. 315,000円
    +給付基礎日額×30日分
  2. (1)が給付基礎日額の
    60日分未満の場合は、
    給付基礎日額×60日分

が葬祭費用負担者に支給されます。
(平成30年度の金額)

【給付6】長期家族介護者援護金

以下のいずれかに該当する場合、
遺族に「100万円」が支給されます。
(平成30年度の金額)

  • 第1級の障害(補償)年金
  • 傷病(補償)年金の10年以上の
    受給者が、仕事以外の原因で死亡

【給付7】労災就労保育援護費・
労災就学保育援護費

以下に該当する者で、生計が同じ子供の保育費・学費支払いが困難と認められた場合に支給されます。

  • 亡くなった労働者の子供と
    生計を同じくしている
    遺族(補償)年金受給者
  • 第1~3級の障害(補償)年金受給者
  • 傷病が重篤な傷病(補償)年金受給者

平成30年度は以下の金額でした。

  • 保育所: 月額 12、000円
  • 小学校: 月額 14、000円
  • 中学校: 月額 18、000円
  • 高校 : 月額 16、000円
  • 大学 : 月額 39、000円

【給付8】傷病(補償)年金、
障害(補償)年金

仕事や通勤が原因の「ケガ」「病気」の治療を受けている労働者が、以下に該当する場合に支給されます。

  • 1年6ヶ月を過ぎても治っていない、
    または症状が固定していない場合
    「傷病(補償)年金」
    または「一時金」
  • 症状は固定したが、障害が残った場合
    「障害(補償)給付」

【給付9】アフターケア通院費

症状は安定したものの、1カ月に1回程度の診察や保健指導が必要な場合、通院費が支給されます。

本人が労働局へ「健康管理手帳交付申請書」を提出する必要があります。

【給付10】介護(補償)給付

(1)~(3)全てに該当する人が支給されます。

  1. 「傷病(補償)年金」
    「障害(補償)年金」
    の第1・2級で
    高次脳機能・身体性機能障害が残り
    介護が必要な人
  2. 民間の有料介護サービスや
    親族などから、介護を受けている人
  3. 入院や介護老人保健施設などに
    入所していない人

【給付11】二次健康診断等給付

会社の定期健康診断で、「脳」「心疾患の関連項目」で異常があった場合、労災病院などの指定病院で無料の再検査が受けられます。

より詳細は、厚生労働省ホームページのリーフレットをご参照ください。

厚生労働省ホームページ
請求(申請)のできる保険給付等
~全ての被災労働者・ご遺族が必要な
保険給付等を確実に受けられるために~

4.労災の書類でよく迷う
「原因および発生の状況」の書き方

労災保険を受ける時に書くのが「療養の給付請求書」です。

特に「災害の原因および発生の状況」の書き方は難しく思う人が多いようです。

以下に注意して記載するとよいでしょう。

  • 「どこの場所」
    (例)「店舗敷地内の倉庫で」
  • 「どのような作業中」
    (例)「商品の入った段ボールを
    棚から下していて」
  • 「どのような環境」
    (例)「脚立に登っていて」
  • 「何」をしていて
    (例)「脚立の上で背伸びをして」
  • 「どのような災害」が起きたか
    (例)「バランスを崩し
    脚立から落ち、
    右足をねん挫した」

「受診日がケガをした日ではない」場合は、その理由も書きます。

5.労災なのに、
「健康保険」で治療を受けた時の手続き

仕事や通勤が原因の「病気」「ケガ」に健康保険は使えません。

間違えて健康保険を使って治療を受けた場合は、手続きが必要です。手続き方法は、治療を受けた病院によって違います。

「健康保険」から「労災保険」へ
切り替えができない病院の場合

以下の方法で手続きを行います。

  1. 一時的に治療費を
    「全額自己負担」する
  2. 健保協会などに、
    労災だったことを伝える
  3. 健保協会などから送付された
    「医療費の返還通知書」
    記載された返還額を支払う
  4. 「労災保険の様式第7号」または
    「労災保険の様式第16号の5」
    のうち、該当する請求書に記入する
  5. 「返還額の領収書」および
    「病院の窓口で払った
    金額の領収書」
    と一緒に
    労働基準監督署に提出する

「健康保険」から「労災保険」へ
切り替えができる病院で治療を受けた場合

「労災保険の様式5号」または
「労災保険の様式16号の3」
のどちらか該当する請求書を病院に提出します。

その後、病院で支払った一部負担金が返還されます。

まとめ(労災保険は手厚い保障を受けられますが、請求をするのは「本人」です)

「労災保険」を使用すると「治療費が無料」になるだけではありません。子供が大学を卒業するまでの「学費補助などの給付」も手厚いです。

しかし「請求するのは本人」です。給付内容を知らなかったり、請求漏れを起こしたりする可能性があります。

労災事故は、突然起こります。給付内容や手続きの流れを、事前に知っておきましょう。

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