絵本作家にこだわらず子供が気に入った作家さんの絵本を買うと感性に響き、埋もれた名作を探す楽しみもあります。

書店などに出向くと、必ず絵本コーナーが設けられており、その種類の多さに子供のみならず大人も驚かされてしまいます。年間に何人もの絵本作家さんがデビューをしているんでしょうか、その絵本のバリエーションや題材は子供の読み物だけではもったいないほど、胸にずっしりと来るようなテーマの作品も多いと言われています。

最近では絵本作家さんも、本業ではなく二足のわらじとして、趣味で絵本を出版している方も多いと言われています。そして、その中には芸能人が書いた「タレント絵本」なども人気です。代表的なものですと、有名なお笑い芸人の方が、独特なタッチの絵とメッセージ性の強い言葉を綴った絵本を発表して意外な才能を開花させました。

実は絵本と言うのは、絵本作家さんだけでなく、一般の人でも自費出版が簡単にできると話題になっているようです。小説家のように、有名な賞をとらなければ沢山の人の目に止まりにくいものでもありませんし、本当に趣味程度で書いていた絵や詞などを集めたものを、絵本として出版する事も可能なのです。

意外と素人さんの書いた絵本の方が、インパクトが強い場合もありますし、大人が良いと評価する作品と、子供がぱっと見て釘付けになる作品が全く違うのも面白いです。書店に出向いた際には、お子さんと一緒に有名な作品だけでなく、お子さんの感性に響くような埋もれた名作を探すのも楽しいでしょう。

五味太郎さんの暖かみがある絵と印象的な言葉の絵本

数ある絵本の中でも暖かみのある絵と、分かりやすい言葉、そして普遍的な魅力を持つ作品を沢山出版しているのが五味太郎さんです。五味太郎さんは絵本作家としては歴史が長く言わずと知れた有名絵本作家です。

五味太郎さんの作品は親子2代に渡ってファンと言う人も多く、親が小さな頃に読んだお気に入りの作品を、再び自分の子供にも読み聞かせると言った形で、時代を越えても色褪せない作品として沢山の人達に愛されています。

作品の特徴としては、生活に密着したものや日常の言葉などを、五味太郎さんのマジックで小さなお子さんでもすんなりと読み進める事ができる作品へと変えています。

例えば、トイレトレーニングが苦手なお子さんがウンチをテーマにした作品を読んでから、楽しみながら自然に言葉の意味を理解して、トイレに一人で行けるようになったなんて話もあるほどです。

言葉をテーマにした作品ですと、挨拶やお別れの言葉など、暖かみのある絵と印象的な言葉で大変分かりやすいので、小さなお子さんも自然に挨拶の言葉を覚えてしまいます。

そして五味太郎さんの作品は一度見たら忘れられないほど絵に特徴がありますので、書店でお子さんと作品を探すのも、とても楽しいと思います。絵本に慣れていないお子さんへの初めての絵本としても、五味太郎さんはお勧めの作家さんです。

「いない いない ばあ」作・松谷みよ子、絵・瀬川康男

赤ちゃんの絵本で、作・松谷みよ子、絵・瀬川康男の「いない いない ばあ」はお勧めの絵本です。文章も絵も至ってシンプルなのですが、とても良く出来ていると思います。赤ちゃんはまず表紙の、ひょうきんで愛嬌たっぷりのくまさんの絵に、興味を引かれることでしょう。そしてこの愉快な表情の、くまさんがすぐ大好きになります。

本を開けると、黒いにゃあにゃあが、お顔を隠して立っています。早速赤ちゃんのお顔を隠しながら「いない、いない…」と言って、ページをめくり、パッと手を離して「ばあ!」赤ちゃんはもうキャッキャと大喜びです。

お母さんのお膝の上に赤ちゃんを乗せて、アクションたっぷりで、この絵本を読み進めていくと、本当に愛情深くて楽しい時間が流れて行くことでしょう。赤ちゃんの笑顔が明るく弾けて、お母さんも自然に笑顔があふれてきます。なんて幸せなことでしょう。

色々な動物が次々登場して、可愛いく決める「いない、いない、ばあ」最後に出てくるのは、人間の子供のよっちゃんです。このよっちゃんを、ご自分のお子さんの名前に変えて、「いない、いない、ばあ!」をしてあげると、もう赤ちゃんの幸せは最高潮です。喜びと幸せに包まれた、親子の思い出を作ってくれる宝玉の一冊だと思います。

おすすめの絵本:3歳

3歳のお子さんにお勧めしたい絵本は、偕成社から出版している「はらぺこあおむし」です。絵本の内容は実にシンプルでわかりやすく、しかけ絵本の中でもとても人気のある作品です。

いつもおなかを空かせているあおむしが月曜日にはりんご、火曜日には梨、水曜日にはすももと一週間のあおむしの成長をしかけ絵本を通して、テンポ良くわかりやすい内容になっています。

作者のエリック・カールの鮮やかな色彩のイラストで読むお子さんの目はキラキラと輝いていることでしょう。ページをめくるのが楽しくてしょうがなくなる、そんな作品になっていると思います。

まだ3歳のお子さんですから、絵本をやぶいてしまったり、投げてしまったりと、購入を迷われる親御さんも多いかと思います。しかし、この絵本は厚紙で作られていますので、多少の衝撃があっても濡れない限りはボロボロになることはありません。お子さんの力じゃまず破られることはないと思います。

しかけ絵本なので、あおむしが食べたもののところには穴がそれぞれあいており、指をいれて遊ぶことも出来ますので、指をあおむしに見たてて遊んであげるとお子さんも喜ばれるのではないでしょうか。書店の児童書コーナーでも常に置いてありますので、プレゼントなどで贈られても喜ばれるのでとてもお勧めです。

次にお勧めする絵本は「きょだいなきょだいな」という絵本です。内容はピアノや電話、トイレットペーパー、石鹸等が巨大化して、そこへ子どもが100人やってきたら….?というお話になっています。

巨大化するのが子どもにとっても身近なものなので、興味をひきやすく、内容が現実では絶対にあり得ないことばかりなので、想像力を育てるにはとても良いでしょう。絵も水彩絵の具で描かれているため優しいタッチですし子どもも手にとりやすいと思います。

そしてなにより私がオススメしたい理由というのは、文章が全てリズムにのせて歌えるようになっているというところです。全ページ同じリズムで韻をふむように歌えるため、絵本を読んでいると子どもたちも口ずさめるようになり、楽しい気持ちになれるのです。

そして観察力がついてくる3歳の子どもの興味をそそるポイントがもうひとつあります。
全てのページに必ずある動物が隠れているのです。そのため、絵本を読むこと以外にも動物をみつけるという楽しみも味わうことができます。

絵本自体は決して短い内容ではありませんが、ちょっと長くてもリズムにのせて読むことで飽きずに最後まで読むことができ、知らず知らずに集中力が養われていくことも期待できます。

おすすめの絵本:4歳

4歳位のお子さんですと、「ぐりとぐら」シリーズは安心して読んであげられるでしょう。朗らかで明るい物語世界と枠に囚われない展開、同時にちりばめられたほどよい生活感。子どもたちが目を輝かせる要素が豊富で、大人にとっても心和む絵本です。

また、「百万回生きたねこ」などは、子どもから大人まで一生に渡って読み続けられる一冊といえます。大きな絵柄と繰り返すテンポでわかりやすい前半、「愛」についてさりげなく語られる後半と、読み物としてもとても質が高いです。

おすすめの絵本:5歳

5歳のお子様にお勧めの絵本は「こいぬがうまれるよ」です。この絵本は初版が1982年ですから随分古い絵本になりますが、全米を中心に今でもロングセラーとして愛されています。子犬が生まれるまでの過程や、生まれた子犬か母犬から自立していくまでを白黒写真で追っていく作品になります。

そして、子犬の出産シーンをリアルに写真絵本として使っています。そのインパクトはかなり大きく、絵本として出版されていますが、写真を使ったものは珍しく、当時はかなり異色な作品だったかもしれません。

なぜこの絵本が5歳位のお子様にお勧めかと言うと、5歳はこれから小学校に上がる前の年になります。つまり保育園や幼稚園とはまた違った世界への扉を開く大切な時期です。

小学校に入学すると、今までとは違う厳しい世界が待っています。6年間と言う長い学校生活で、自分の事は自分で解決しなければならない場面も増えていきます。

最近は、いじめ問題なども取り沙汰されており、命の大切さを学ぶ事は教育において重要であり、親から自立していく大切なこの時期に「生命の誕生と自立」を同時に学べるこの絵本は、5歳位のお子様にとても良い作品だと思います。

実際にこの絵本を5~6歳の頃に見たのですが、今でも忘れられない絵本の1つになりました。お子様がこの絵本を通して、客観的な視点で自己と向き合える「こいぬがうまれるよ」はおすすめの一冊と言えるでしょう。

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